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与党大敗でわずかに円安、日銀への圧力で株高期待の声

2010年07月12日 15:23

  [東京 12日 ロイター] 11日の参院選で連立与党が過半数を大きく割り込んだものの、金融市場への影響はわずかに円売りが進んだ程度にとどまった。株式、債券は予想外にしっかり。

  今後は民主党の連立パートナー探しが焦点となるが、株式市場ではみんなの党の日銀への圧力を歓迎する声が出ている。一方、政局については、9月の民主党代表選に向け、菅直人首相の責任を追及する動きが出てくれば、株売り材料につながる可能性が指摘されるが、相次ぐ首相交代には民主内でも否定的な声が聞かれる。

  <与党惨敗で円売りがやや加速、株価をサポート>株式市場では日経平均が前場に小幅に続伸。参議院選挙で連立与党の議席数が過半数割れとなり、政局の不透明感が強まったものの、為替市場でドル/円が約2週間ぶりに89円を回復するなど円安が進み、輸出株を中心とする株価の下支えになった。「もともと国内政治への期待感は乏しく、参院選の結果が株価に与える影響は限定的だ。すでに焦点は今週から本格化する米企業決算に移っている」(東海東京証券エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との声が出ている。

  外為市場で連立与党の惨敗は「どちらかといえば円安要因」(クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏)と受け止められた。きょうは早朝から小刻みに円売りを探る動きがみられ、その後いったん落ち着いたものの東京時間に入って再び円売りが優勢になった。前週末の米国株高や米金利上昇で「もともと円売りの地合いはあった。そこに参院選を受けた円売りが加わったようだ」(国内銀行)という。

  安値で買いそびれた輸入企業がドルやクロス円で買いを入れたこともドル/円を押し上げた。一方で、約2週間ぶりのドル高水準だが、輸出企業のドル売りは小規模なものにとどまったという。民主党が50議席を割り込んだ場合には、株安/クロス円安と株式市場を起点とする反応が予想されていた。序盤は与党惨敗で短期筋の売りが観測されたが、その後は主要通貨買い/円売りの地合いが株価を支えたとみられている。

  民主党の連立相手選びが今後の焦点だが、株式市場関係者はみんなの党の日銀への圧力に期待感を示す。邦銀系の株式トレーダーは、日銀への圧力は金融緩和政策の継続、円安/株高の流れになると指摘する。みんなの党の渡辺喜美代表は11日夜、民主党との連立について「ノーだ」と否定した。一方で、みんなの党の提案に沿った法案や政策では協力していく考えを示し、日銀法改正を中心とした「デフレ脱却法案」を提出する意向を示した。

  <みんなの党がクローズアップ、債券市場の一部は歓迎>円債市場では、与党過半数割れに伴う財政再建期待の後退で、「悪い金利上昇」(みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト)への警戒感もあったが、消化不良のまま12日午前の取引を終えた。複数の市場参加者によると、海外ファンドの先物売りやスワップ払いなど金利派生取引を通じた金利上昇圧力も発生せず、業者主体で先物がカバーされた。

  国内証券の幹部は「財政健全化を前面に打ち出した民主党の惨敗は金利上昇要因だったが、同時に政権弱体化による景気先行き不透明感の副作用も予想され、強弱感が対立した」と話した。銀行勢の主な投資ゾーンである中短期債利回りも、小じっかりで推移した。BNPパリバ証券の島本幸治チーフストラテジストは「今回の参院選を受けて“ねじれ国会”が再現することは、政策の目詰まりを通じ金融緩和政策への負荷を高める要因となる」と指摘した。

  バークレイズキャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジストは「民主、自民に続く公明党や、みんなの党が政局の大きなキャスティング・ボートを握りそうだ」と指摘。そのうえで「みんなの党は小さな政府で増税反対。仮に連立政権の軸足が、国民新党からみんなの党に移されることになっても、債券市場が、それほどネガティブにとらえる必要はないだろう」と話した。

  <菅首相の責任追及必至、株式市場は政局流動化を警戒>参院選の与党大敗を受け、金融市場では9月の民主党代表選に警戒感を強めている。民主党内では、「菅首相の責任追及は必至だ。代表選では、小沢一郎前幹事長に近い、閣僚として活躍している人などを対抗馬として考えざるをえない」(小沢グループの衆院議員)との声が出ている。一方で「(小沢グループは)原口総務相の擁立を考えているのかもしれない」(反小沢グループの衆院議員)という。

  駿河台大学学長の成田憲彦氏は、向こう3年間は国政選挙が予定されておらず、党の分裂や解散・総選挙の前倒しは「民主党にとって意味がない」と否定的な見解を示す。ただ、邦銀系の株式トレーダーは政局の不透明感は株価の押し下げ要因になるとしたうえで「何が起こるかわからない」と警戒する。

  (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者、編集 橋本浩)