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企業部門改善、雇用や所得通じ家計部門へ波及してきた=日銀総裁

2010年07月15日 18:18

  [東京 15日 ロイター] 白川方明日銀総裁は15日、金融政策決定会合後の会見で、企業部門の改善が雇用や所得を通じて家計部門に波及してきているとの見方を示したが、景気の先行きについては、政策効果の減衰などで回復テンポの鈍化が予想されると語った。

  財政改革については、長期的な財政の維持可能性の確保は、通貨の信認や経済の安定にとって重大だと述べた。

  また白川総裁はターム物金利について「低水準で安定的に推移するなかで、企業の資金調達コストは低下傾向が続いている」としたうえで「こうした低金利の持つ緩和効果は、改善している企業収益の対比でみて、強まりつつあるとみられる」と指摘した。

  <民需の自律的回復に向けた動き続く>白川総裁は「民需の自律的回復に向けた動きが引き続きみられる」「企業部門の改善の動きは雇用・所得環境を通じて家計にも緩やかながら波及してきている」との見方を示した。

  今後については「在庫復元の動きが一巡し、政策効果も減衰するに伴い、回復テンポがある程度鈍化することが予想されていた」と指摘した。

  消費については「各種対策で高い伸びを続けてきた耐久消費財需要がこのところ増勢が鈍化しているが、全体としては持ち直し基調を続けている」と指摘した。

  <円高・株安の影響あるも、景気回復が続くと予想>最近の市場動向について白川総裁は「欧州での財政問題等を背景にグローバル投資家のリスク回避姿勢が強まったことなどが指摘されている」と述べる一方、円高に関しては「相対的な安全資産との認識のもとに円に対する需要が高まっていることが、円高の一因となっているという声も市場から聞かれる」と述べた。

  また白川総裁は一般論としたうえで「円高は短期的には輸出の下押し要因になる。株安は逆資産効果や企業マインド悪化を通じて設備投資や個人消費に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。しかし、世界経済が回復していること、企業収益や景況感が改善していること、日本の市場や金融システムが安定していることなどを挙げて「円高や株安の影響はあり得るものの、日本経済の先行きは回復傾向をたどる」と予想した。

  <上振れ・下振れリスクともに4月対比で高まる>米国経済については「回復傾向が続いている」としたものの「過去の回復に比べて成長のペースは緩やかなものにとどまっている」と指摘した。その米国経済の回復の弱さについては「クレジットバブル崩壊後のバランスシート調整」が影響しているとの考えを示した。

  欧州経済については「輸出が増加するもとで全体として持ち直しの動きを続けているが、相対的に回復テンポは緩やか」としたうえで「金融市場が不安定なもとで、緊縮財政が予想以上に景気を下押ししたり、金融部門と実体経済の負の相乗作用が長引くリスクも考えられる」と警告した。

  欧州の銀行に対するストレステスト(健全性審査)については、不確実性除去と、必要に応じて資本を金融機関に注入することが大事だとしたうえで「テストが欧州の金融システムの一層の安定化につながることを期待している」と述べた。

  中国経済については「景気の過熱が心配される状況だったが、当局が窓口指導などの措置を講じ、経済を持続可能な成長軌道に乗せるという政策課題に取り組んでいると認識している」と述べた。

  先行きの上振れ・下振れリスクについては「4月に指摘した要因が現在も生きている」としたうえで「上振れリスクも下振れリスクも、4月対比で幾分高まっている」との評価を示した。

  <自己資本の質と量を高める金融規制の方向は正しい>財政問題について白川総裁は「長期的にみて財政の維持可能性についての信認が確保されることは、通貨の信認確保や経済の安定に非常に重大」と強調した。一方、消費税を含めた税制のあり方についてはコメントを控えた。

  全体としての金融規制については「最も大きな部分は、自己資本の質と量を高める方向だが、そうした方向感は正しい」との見方を示した。実際の規制の適用についてはマクロ経済への影響を十分に評価すること、各国の金融制度の違いに配慮することが必要と指摘した。

  参議院選挙後のみんなの党の台頭で、リフレ的な圧力をが強まることが予想されていることについては、コメントを避けた。

  (ロイターニュース 伊藤純夫記者、竹本能文記者、児玉成夫記者)