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先進国の金融緩和、長期化すれば新興国の経済過熱も=日銀

2010年07月21日 10:16

  [東京 21日 ロイター] 日銀が21日に発表した6月14・15日開催の日銀金融政策決定会合の議事要旨によると、複数の委員が、「欧州経済の不確実性の高まりを背景に、先進国において金融緩和が長期化し、新興国・資源国景気が過熱する可能性があり、その後の経済・金融活動の急激な巻き戻しが発生するリスクがあることに、引き続き留意する必要がある」と述べていたことがわかった。

  新興国がけん引するかたちで景気が緩やかに回復するとの判断を据え置きつつも、日米欧が同時に金融緩和を推し進めることの副作用を警戒する見方が示された。

  ある委員は、「必要以上に長期にわたって拡張的なマクロ政策が維持されると、構造変化への取り組みが遅れ、わが国経済の中長期的な成長期待が一段と下振れるリスクがある」と指摘したという。

  同会合では、何人かの委員が、「緊縮財政や金融市場の緊張を背景に、欧州経済は先行き多少なりとも下振れる可能性がある一方、新興国は引き続き上振れ気味であり、世界経済全体の見通しは、4月の展望リポート時点における評価と大きく異なっていない」と指摘。多くの委員が、日本経済のリスク要因について「基本的に展望リポートで指摘した点と同様であるが、リスクは上下両方向に拡大している」との認識を示した。

  国際金融資本市場については、多くの委員が、「欧州の財政問題を背景に、緊張感の強い状態が続いている」、「欧州系金融機関に対する市場の目線が厳しくなっており、カウンター・パーティー・リスクが強く意識されるなか、銀行間の取引レートは高止まっている」と指摘した。

  中国経済については、多くの委員が「不動産価格抑制策の効果があらわれ始めてきており、今後、中国経済の過熱感は抑制されていく可能性が高い」との見方を示した。ある委員は、「鋼材など一部商品市況が下落しているが、中国経済の基調の変化を示唆しているとの見方もあり、注視する必要がある」と指摘した。

  米国経済について、多くの委員は、「家計のバランスシート調整圧力が残存する中では、景気回復ペースは当面緩やかなものにとどまる」との見方を示した。何人かの委員は、「このところの不安定な株価の動きが、個人消費に与える影響に注意する必要がある」と述べた。

  日本の金融環境については、多くの委員が、「企業収益が回復する中にあって、企業の資金調達コストの低下傾向が続いており、低金利の持つ金融緩和効果は高まっている」と述べた。複数の委員は、長期金利について、「国際金融資本市場の緊張度が高いにもかかわらず、やや低下している」と指摘。株価について何人かの委員は、「米欧株価の影響などから、振れの大きい展開となっており、こうした動きがマインド指標に与える影響に注意する必要がある」との認識を示した。

  国内消費者物価について、ある委員は、「価格下落品目数が価格上昇品目数を上回る状態は続いており、物価の下落圧力は根強い」と述べた。

  成長基盤支援のための新貸出制度について、何人かの委員が、「本来の中央銀行の業務を逸脱するものであるとの意見がみられた」と述べた。その上で、そうした意見について、「本資金供給は、中央銀行としては異例の施策ではあるものの、わが国のデフレは、成長期待の低下という日本経済が抱える根源的な問題が集約的にあらわれた現象であり、本資金供給が成長基盤強化に資することになれば、結果として、物価の安定にもつながる」と述べた。

  同会合では、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.1%前後で推移するよう促す方針を維持、また5月に骨子を公表していた成長基盤強化策の詳細を発表した。景気については現状「回復しつつある」、先行き「回復傾向をたどる」と5月と同じだった。

  (ロイターニュース 竹本能文記者)