[富山 21日 ロイター] 山口広秀日銀副総裁は21日、富山市の金融経済懇談会で挨拶し、米欧経済の動向や国際金融市場の不安定な動きなど、不確実性要因が多いと指摘、「今後ともきわめて緩和的な金融環境を粘り強く維持し、日本経済の回復に貢献していく」と述べた。
先日発表した成長基盤強化の支援措置については、必ずしも今回の措置に限定されないとしたうえで、今後も出せる知恵をどんどん出して、さまざまな可能性を探る意向を示した。
<成長基盤強化支援、今回の措置に限定されず>山口副総裁は「米欧経済の動向や、欧州の財政・金融情勢を背景とする国際金融市場の不安定な動きなど、なお不確実な要因が多い」と指摘したうえで「日銀としては、今後とも、きわめて緩和的な金融環境を粘り強く維持し、日本経済の回復に貢献していく」との決意を表明した。
また現在20兆円を供給している新型オペなど一連の措置により「企業や家計が資金を借り入れる際の金利は低下傾向を辿っている」と指摘し「このような低金利の持つ金融緩和の力は、企業収益の改善を背景に、さらに強まりつつある」との判断を示した。
先日発表した成長基盤強化の支援措置については「方法は必ずしも今回の措置に限定されない」としたうえで「市場参加者により、成長基盤強化に関連する融資や投資を証券化するといった仕組みが検討される場合には、そのような市場の整備に向けた取り組みにも積極的に協力していきたい」「そうした証券化商品が育っていく場合には、日本銀行の適格担保として受け入れるといった方法についても、検討していく余地がある」などと指摘した。
そのうえで、出せる知恵をどんどん出していき「今後とも、様々な可能性を探りつつ、前向きの検討を行っていきたい」と指摘した。
欧州の財政・金融情勢など、国際金融面ではなお注意を要する要因が残っているため、日銀としては「引き続き、海外中央銀行と協力しつつ、金融市場の安定確保に万全を期していく方針」と述べた。
<新興国が経済過熱抑制して持続的成長確保できるか、重要な着目点>新興国については「先進国の低金利政策は、国境を越えた資金の流れを通じて、自国よりも新興国に対して大きな景気刺激効果を及ぼしてきた」との判断を示した。
先進国から新興国へのマネー流入については「為替レートの上昇要因となるが、多くの新興国がドルに対して固定的な為替政策を採用しており、市場への介入によって為替レートの上昇を抑制しているため、これが金融緩和効果をさらに強めている」と指摘した。
こうした要因もあり新興国では、インフレや資産価格の上昇など、経済の過熱現象が目立ってきている。この点については「多くの国で、政策金利の引き上げなど金融引き締め方向への転換が図られているほか、為替政策の柔軟化も進められている。こうした政策運営が効果を挙げ、経済の過熱を抑制しつつ持続的な成長を確保できるかどうかは、世界経済全体の観点からも大変重要な着目点」と指摘した。
現在の米欧経済については、各国政府や中央銀行による様々な政策対応により、リーマンショック後の「急性症状」からは何とか立ち直ったものの「(バランスシート調整などの)慢性症状はなお重く残っている状態」との判断を示した。
日本経済については「海外経済の改善を起点として、輸出から国内民間需要への波及という前向きの動きが徐々にみられ始めている」と指摘した。
1─3月期をみると、日本の成長率が米欧のそれを上回ったが、そうした高成長の実感が感じられないことについて山口副総裁は「最大の要因は、日本経済の将来の成長への展望が拓けない、言い換えれば成長の構図が描きにくくなっている、ということへの懸念にあるのではないか」と指摘した。
(ロイターニュース 児玉 成夫記者)
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